国土交通省が公表した「令和6年空き家所有者実態調査」によると、管理面での主な心配事は「住宅の腐朽・破損の進行」を心配する世帯の割合が約76%と最も高く、次いで「樹木・雑草の繁茂」が約58%、「地震、台風、豪雪などによる住宅の損壊・倒壊」が約57%となっている。一方で、「心配事はない」が約37%となっている。
相続した物件が空き家になる前に、未然に防ぐ方法には何があるのでしょうか?
管理面での主な心配事 調査結果一覧
住宅の腐朽 破損の進行 75.7%
樹木・雑草の繁茂 58.0%
地震、台風、豪雪などによる住宅の損壊・倒壊 56.9%
不審者の侵入や放火 51.7%
心配事はない 37.0%
動物の棲みつき 26.2%
門・塀・擁壁などの腐朽 破損の進行 20.2%
地域の景観への悪影響 9.9%
害虫の発生等による周辺住民への健康被害 9.2%
ゴミの放置等による悪臭の発生 2.4%
落雪による通行障害など 2.2%
その他 6.0%
調査結果からの考察
1. 物理的劣化への強い危機感と、周辺への加害リスク
最も割合が高い「住宅の腐朽・破損の進行(約76%)」に続き、自然災害による「損壊・倒壊(約57%)」や「樹木・雑草の繁茂(約58%)」が上位を占めています。これは所有者が「家屋そのものの資産価値低下」だけでなく、倒壊や枝の越境、落雪などによって「近隣住民や通行人に迷惑・損害を与えてしまう(損害賠償リスク)」を強く恐れていることを示しています。
2. 空き家法改正(管理不全空き家)へのプレッシャー
「樹木・雑草の繁茂」や「門・塀の破損」は、放置すると行政から「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定される直接の原因になります。指定されて改善勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が解除されて税負担が最大6倍になるため、所有者にとって法的なペナルティが現実的な恐怖となっている背景が透けて見えます。
3. 「心配事はない(約37%)」に潜む管理不全リスク
注目すべきは、4割弱の所有者が「心配事はない」と回答している点です。本調査の別データでは、物件の「構造上の不具合や腐朽・破損がない」良好な物件ほどこまめに管理されており、逆に「構造上の不具合がある」深刻な物件ほど管理頻度が低くなる(放置される)傾向が確認されています。つまり、この37%の中には「適切に管理できているから安心」という層だけでなく、「現状に関心がなく、リスクを認識すらしていない(放置層)」が一定数含まれている可能性があり、これが地域のスラム化を招く根深い要因となっています。
4. 相続由来による「遠隔管理」の限界
空き家を取得した理由の約6割は「相続」です。相続によって思いがけず実家を引き継いだものの、自身は都市部に暮らしているケースが多く、「気にはなるが頻繁に手入れに行けない」という心理的距離と物理的限界が、腐朽や雑草の繁茂への高い不安感に直結しています。
まとめ:今後の展望
令和6年調査の結果は、空き家問題が「個人の管理問題」から「近隣トラブル(防災・防犯・衛生)」へと深刻化していることを示しています。今後は、相続発生前からの計画的な処分や、空き家バンクの利用、専門業者への売却・解体など、より具体的なアクションが求められる傾向が強まっています。
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